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【メンテ】シーズン・イン・ザ・カビ・2023(梅雨シーズンのレンズカビ対策)


レンズのカビ

「梅雨="レンズカビ"発生リスクが高まる季節。」


6月は好きじゃないという望遠鏡ユーザーさんも多くいらっしゃることと思います。


カメラレンズとは違いサイズ的にも防湿庫などでの保管が難しい天体望遠鏡。梅雨時期は曇天が続くため必然的に出動機会(観測に出向く日)が減少。その間の保管状況には注意が必要です。実際にレンズカビが発生してしまい後から難儀するというケースも。。。



当ブログ読者のみな様に注意喚起の意味も含め今年一年のメンテナンスで出会った新たなレンズカビ事例をピックアップしてご紹介。



題して"レンズカビコレクション2023・夏"



記事の最後では梅雨時期の長期休業時に注意したい対策方法2023版をご紹介。



梅雨シーズンのレンズカビ対策。

保管時の対策をしっかり行って"ストップ・ザ・カビ!"

梅雨を乗り切りましょう!!



レンズカビコレクション2023・夏

※画像クリックで拡大表示。

 

"タカハシ FC-100"

FC-100後期型はガラスレンズにマルチコートが施されています。

この面に付着したカビがかなり広がった状態でした。

コーティングに軽度の劣化が残りましたが実用には影響のない程度です。



"タカハシ FS-102"

全面マルチコートのFS-102。

紫のマルチ反射光が凸フローライト。カビの付着が著しい方が凹ガラス。

カビは除去できましたが長期間の付着によりコーティングダメージがかなり残りました。



"タカハシ FC-60"

ブログカバー画像になった鏡筒です。

2枚玉貼り合わせ仕様のFC-60です。分解してみるとレンズ貼り合わせ面に発生したカビでした。光学性能の再現が困難な理由から貼り合わせ面のメンテナンスは対応不可としています。ユーザー様に事情説明の上、不本意でしたが現状のままお返しすることになりました。



"Questar 3.5"

アメリカ製クエスター望遠鏡の口径3.5インチモデル。

長い期間変わらないロングセラーモデル。

補正レンズ両面および主鏡面のカビを洗浄しました。



"ビクセン ニューポラリス90L"

ポツポツと核を持つカビと全面に広がる線状もカビの類のようでした??

清掃で除去した後はニュートンリングが出現。



"Nishimura 15cmニュートン反射"

レアな鏡筒もメンテナンスでお預しました。

西村製作所製15cm反射式ニュートン。

保管中にカビが付着してしまったそうです。

反射鏡メッキに劣化はみられず清掃のみで対応できました。



"MEADE LX200-20cm F6.3"

最後はMEADE20cmの明るい方(F/6.3)。

補正板、主鏡、副鏡それぞれにカビ付着。

コーティングやメッキ面へのダメージは少なく済みました。

分解清掃のあとは光軸調整を行います。




カビコレ2023・総括

この1年にメンテナンスを実施した鏡筒の中から印象に残るレンズカビ事例をメンテナンスビフォーアフター画像でご紹介しました。

改めてみるとレンズカビと言っても様々なタイプが確認できます。

レンズカビの世界にも多様性があるようですね。



紹介した通りカビの付着が長期間に及ぶとコーティングやレンズ材にダメージを及ぼします。レンズ再コーティングや再研磨は難しい場合がほとんどです。


反対にカビが発生してしまったとしても早期発見の場合には簡単に除去することも可能です。だからこそレンズカビの発生には日頃からご注意いただきたいところなのです。



最後に機材の"カビ対策"と"お手入れ"についてご案内します。



レンズカビ発生原因とその対策・2023版

"カビが好む条件"

・栄養(レンズ面のホコリや汚れ)

・湿度(約50%から)

・温度(0℃以上??)


保管時のレンズカビ対策はこれらの"カビが好む条件"を揃わないようにすることです。



栄養対策として、カビの養分となる"ホコリ"や"汚れ"を除去すること。ご使用後など定期的に光学面の汚れをクリーニングすることが重要です。ただしレンズぺーパーなどでの光学面の拭き取りは致命傷"レンズキズ"が入るリスクもあります。経験値の高い方はご自身で清掃されていますが自信のない方はできるだけお控えください。難しい場合はハンドブロアーでレンズ面のホコリを可能な範囲で吹き飛ばすだけでも有効です。





次に湿度対策。

定番はシリカゲルなどの"乾燥剤"。望遠鏡のキャップ裏や接眼部に貼ってる方も多いようです。ご注意をいただきたいのは乾燥剤の効果は永遠ではありません。水分を含んでパンパンになった乾燥剤は時々交換してあげてください。湿気を放出し逆効果となる場合もあるそうです。収納用の段ボールや緩衝スポンジなどの古いものも同様ですので定期的に交換をおすすめいたします。レンズ内面に薄くクモリ(湿気)が付着しだしたら要注意です!





温度対策ですが現実的には対策が少し難しい場合があります。

0℃以上の環境ならどの温度でもカビは生きていけるそうです。高温になるほど湿度も上がるため活発になります。例えば湿度コントロールされた冷蔵庫の中や年中エアコンが効いた一定温度の保管室が用意できれば良いのですが普通は現実的ではありません。

上記の"栄養対策"と"湿度対策"の2項目を徹底することで発生を抑制する方法が有効かと考えます。



以上は保管時の対策。

踏まえて私たちが提唱するオススメの対策。



『長期保管でも望遠鏡はしまい込まず"時々出して触ってあげる"こと。』


人が生活する環境。周囲の空気が動くことでカビの抑制につながる効果があります。またクローゼットや収納箱の中など灯りが届かないカビにとって居心地が良い"暗い環境"を持続させないことも重要と考えます。


すなわち、、

・時々は箱やバッグから出して望遠鏡を室内でも組み上げる。

・対物レンズキャップを開けて光を入れる。

・ピント(ドローチューブ)を動かして空気を動かす。


これだけでもカビ発生の予防効果アリます!



出したついでにレンズ状況なども目視確認してみましょう。ホコリなどが付着していたらハンドブロアーでシュコシュコ。もしカビなどの異常があった場合でも早期発見につながります。



梅雨シーズンはメンテナンスも兼ねて室内で機材を愛でてみましょう。

きっと望遠鏡も喜ぶはず♪



まとめ

大事なことは保管時にはカビが好む条件を避ける事と時々はメンテナンスする事。


それでもレンズカビが発生してしまった場合には迷わず「天文ハウスTOMITA」までご相談ください。



"Stop the Season in the・カビ!"

カビの繁殖を止めて機材を大切に(^^♪





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