【TAC-PRO TiTaN】公共天文台の望遠鏡"シン制御システム"紹介
更新日:6月21日
この度、公共天文台「大型天体望遠鏡」に対応した制御システム"TAC-PRO TiTaN"をリリースしました。
シン制御システム"TAC-PRO TiTaN"の詳細ならびに機能など紹介いたします。
背景
多くの公共天文台施設は設置から20年余りが経過。自動導入装置など望遠鏡(赤道儀)制御システムの老朽化が問題となっています。
システム老朽化の主な問題点として「システムそのものが古い」「対応するOSのサポート終了」「彗星など最新データへの非対応」などが挙げられます。
また限られたスタッフで運営する現場では「望遠鏡操作に一定の天文知識や機械操作技術が求められること」などがソフト面での課題です。
天文台設立当時のWindows98やXPなどサポート終了OSで望遠鏡を制御している施設も多くみられ、PC故障時はシステムそのものの更新が必要となり費用面で難題となります。
このような状況から、どなたでも使いやすい"望遠鏡の操作性"と制御PC(OSなど)に"依存しない"新しい望遠鏡制御システムはこれからの公共天文台運用について必要不可欠なものだと考えました。
天文ハウスTOMITAでは既存の公共天文台仕様望遠鏡制御システム"TACシリーズ"をリニューアル。今回新たに現代のニーズに対応した"TAC-PRO TiTaN"を開発しました。
システム詳細
名称:TAC-PRO TiTaN(タック-プロ タイタン※)
使用電源 | 100-110v |
消費電力 | 最大200w |
マイクロプロセッサ | MainControl:32bit 120MHz |
シリアルポート | RS232 x2ポート |
ガイドポート | RJ-12 |
Bluetooth | シリアルプロトコル |
USB | Type-Aコネクタ |
時計機能 | 省電力RTC内蔵 |
バックアップ用 | CR2032 |
対応架台 | ドイツ式、フォーク式 |
最高駆動速度 | 恒星時の1000倍 |
推奨駆動速度 | 恒星時の500~600倍 |
登録天体 | 太陽/月/惑星/恒星/メシエ/NGC/IC/他 |
※TACはトミタアストロクラブの略称で歴代制御システムの流れを汲んでいます。
主な機能
・ハンドコントローラーからの操作と天体自動導入
制御PCを起動することなくハンドコントローラー液晶に表示される天体を選択するだけの簡単操作。望遠鏡から離れることなく来館者への星空案内を行いながらスムーズな天体自動導入を行えます。
万一、トラブルにより制御PCがダウンした場合でも望遠鏡の運用に支障をきたさないコントローラー単独で操作できる独立した制御システムを採用しています。
・PCとの接続、星図ソフトからの制御
従来と同様に制御PCからの制御も可能です。
ASCOMドライバによる接続でステラナビゲーターなどの星図ソフトからも望遠鏡コントロールが行えます。
オートガイドなどの様々なソフトウェアとの連携も可。システムバージョンアップにより最新OSに対応していく予定なのでPC更新も問題ありません。
・インターフェース
メインパネルには"シリアルポート""ガイドポート""外部出力コンセント"など必要なインターフェースが揃っています。
例えば"ASIAir"など最近のデジタルデバイスとも接続可能。
公共天文台でもニーズが高まってきている"電視観望"に対応しやすい仕様です。
・駆動モーター、各センサーをリプレース
年数が経過した駆動モーターは各赤道儀に合わせ最新のモーターへ交換します。静かでパワフルな赤道儀に生まれ変わります。
駆動部には安全に配慮したリミットセンサーを新設。ピラー等への接触事故を回避。
同時にメカニカル原点センサーからの高精度自動導入はファインダーによる微調整の手間を軽減します。
大型望遠鏡ながら、どなたでも使いやすい仕様となります。
・その他の主な機能
赤経/赤緯速度設定
恒星/太陽/月/追尾速度補正
メリディアンフリップ
メリディアンストップ
地上モード
メカニカル原点(格納ボタン)
パーク機能
非常停止ボタン
ファームウェアアップデート(随時)
Bluetooth
付属品
赤経赤緯駆動モーター(ステッピングモーター)
原点センサー/リミットセンサー
専用ハンドコントローラー
制御PC
取扱説明書
※仕様により異なります。
設置の様子
・既存システムの撤去
赤道儀既存の"制御装置""モーター""センサー""配線"など不要な部品を撤去します。
・駆動モーター取り付け
新しい制御システム"TAC-PRO TiTaN"に対応した"駆動モーター"を取り付けます。
・各センサー取り付け
新しい制御システム"TAC-PRO TiTaN"に対応した"原点/リミットセンサー"を取り付けます。
・メインパネル取り付け
新しい制御システム"TAC-PRO TiTaN"メインパネルを取り付けます。
パネルは各赤道儀に合わせ作製します。
・動作点検
新しい制御システム"TAC-PRO TiTaN"での動作確認を行います。
・天体導入テスト
実際の星空で導入/追尾状況の点検を行います。
※夜間作業となります。
・取り扱い説明
天文台スタッフの方向けに新しい制御システム"TAC-PRO TiTaN"操作方法の説明会を行います。ご不明な点やトラブル発生時は納品後もサポートいたします。
納品実績(順不同)
・福岡市立 背振少年自然の家(福岡県福岡市)
25cm屈折望遠鏡(ドイツ式)
・梅園の里 天球館(大分県国東市)
65cmカセグレン式望遠鏡(フォーク式)
・清和高原天文台(熊本県上益城郡)
50cmニュートン反射望遠鏡(ドイツ式)
・さかもと八竜天文台(熊本県八代市)
30cm屈折望遠鏡(ドイツ式)
・加古川市立 少年自然の家(兵庫県加古川市)
20cmクーデ式望遠鏡
・岡山市立 犬島自然の家(岡山県岡山市)
40cmシュミットカセグレン式望遠鏡(フォーク式)
20cmクーデ式望遠鏡
お問い合わせ
望遠鏡制御システム"TAC-PRO TiTaN"についてのご質問。お見積り。
現在運用中の公共天文台大型望遠鏡でお困りの症状。
などございましたら下記URLお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
・お問い合わせフォーム
まとめ
ここまで、天文ハウスTOMITAの望遠鏡シン望遠鏡制御システム"TAC-PRO TiTaN"について紹介させていただきました。
どなたでも扱いやすい操作性と制御PCに依存しない独立した制御系を兼ね備えた新しい天体望遠鏡の制御システムです。最新のインターフェースに対応し拡張性が高い点も"TAC-PRO TiTaN"の大きな特徴となります。
仕事柄、各地の天文台を訪問することが多々ありますが多くの望遠鏡で操作性の難解さや拡張性の無さに一抹の不安を感じるのが正直なところです。
昭和平成時代の望遠鏡制御システムが"TAC-PRO TiTaN"への更新により、使用者/来館者の双方にとってより使いやすくオープンな望遠鏡へとリニューアルし公共天文台が永く愛される施設として続くことを願い、またそのようなお手伝いができれば天文業界に携わる企業としてうれしく思います。
最後までご覧いただきありがとうございます★
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