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執筆者の写真Orthoscopic13

シーズン・イン・ザ・カビ。-鏡筒メンテナンス番外編-



梅雨です。


じめじめ。。


光学機器の大敵、あの季節がやってきました。


じめじめ。。


梅雨="レンズカビ"発生リスクが高まる季節。

6月は好きじゃないという望遠鏡ユーザーさんも多くいらっしゃることと思います。


カメラレンズとは違い、防湿庫などには入りにくいサイズの望遠鏡。梅雨時期は曇天が続くため、必然的に出動機会が減ることもあり、その間の保管状況には苦労が絶えません。また実際にカビが発生してしまい、あとから難儀するというケースも。。。


と、みんなの嫌われ者"レンズカビ"ですが、お預り鏡筒のメンテナンスやレンズ洗浄などしながら眺めていると、しばしば美しく思える瞬間があることも!?なんだか芸術的というか微生物の神秘というか!?


そこで今回はいつもとちょっと趣向を変えて、そんな"カビアート風写真"をタイプ別に集めてみました。(ある意味、閲覧注意かもしれません!!)

 

中央付近に大きな菌糸の親玉。周りを取り囲む子分たい。ブルーの反射光が幻想的です。

鏡筒は"タカハシFS-78"。


レンズ周囲から菌糸で攻め込むタイプ。東側の勢力が強いようです。

鏡筒は"ペンタックス75EDHF(型不明)"。


別の鏡筒。こちらはすでに天下統一されてしまった様子Orz。

"ペンタックス75EDHFⅡ"。


舞う粉雪のように均等に。全面分散型。

鏡筒は"BORG125ED"。


横だけでなく縦にも広がる。強力なコアには厚みがでます。

鏡筒は"ペンタックス105SDP"。


まるで雫が落ちたように。根を張るような菌糸の広がりを見せないものも。

鏡筒は"メーカー不明15cmアクロマート"。


ホコリが堆積しやすいニュートン鏡もカビにとっては住みやすい環境。

鏡筒は"タカハシMT-100"。


筒内は暗くて湿気を帯びた空気が滞留するためです。

鏡筒は"タカハシTS-130"。


はじめは表面の汚れから。徐々に裏面へと広がる。

鏡筒は"MEADE LX200-25cm"。



閉鎖鏡筒だからといって安心はできません。シュミカセ主鏡。

鏡筒は"セレストロンC11"。


いつも近くに居るんだから当たり前。ファインダーフード内塗装にも及ぶほど。

"タカハシ ミューロン180 ファインダー対物レンズ"。



見落としがちな補正レンズ系も例外ではなく、気づけばこのありさま。

"タカハシε-160補正レンズ"。


レンズコーティングだけかと思いきや、筒内塗装にあのまだら模様。

"タカハシ FC-100"。


意外や意外。ドローチューブに付着しているのもヤツです。グリスも好物なのか?

鏡筒は"TeleVue NP101"。


最後は接眼レンズ。覗けばもう別の宇宙が広がってます。

"Masuyama 25mm"。


 

いかがでしたでしょうか?


一口に"レンズカビ"といってもその形態や発生箇所は多種多様。

レンズ材やマルチコート、餌となる汚れの成分によりタイプが異なることが分かります。


また望遠鏡によっても発生しやすいメーカーがあるとかないとか。。。

ある筋の話では特にペン〇製品のマルチコートが。。。

(同条件下で検証したわけではありません。あくまで都市伝説です。)


菌糸の広がりやその複雑な模様は見るものを飽きさせず、

知らない間に広がったカビの結晶を眺めながら、

長い梅雨シーズンを乗り切るのも乙なものではないでしょうか??



...('_')


いやいや!!!


次にレンズカビが及ぼす影響と、

梅雨シーズンを乗り切る対策をご紹介しますのでご参考にしてください。


レンズカビによる症状
 

カメラレンズとは違い望遠鏡では暗い夜空をバックに星(点像)をメインに見るため、観測時には気づきにくい場合がほとんどでです。あえて焦点をずらしてみて点像を大きくしてみます。するとカビが付着している箇所は画像のようにとなって写っていることが分かります。


この画像は冒頭"FS-78"レンズ洗浄後の状況です。一度付着すると、多くの場合レンズコーティングにまで侵食し、洗浄によりカビが除去できたとしてもその付着跡が残ってしまいます。マルチコートの再コーティングはほとんどの場合難しく、一生モノのキズとして付き合っていかなくてはなりません。


程度にもよりますが、カビはレンズの解像度やコントラストを確実に低下させます。

うまく除去できた場合でもその爪痕は深く、オーナーが受ける精神的ダメージは決して小さくはないでしょう。


レンズカビ発生原因とその症状
 

「敵を知り、己を知れば。。。。」


まずは相手の特徴を知るところから。



・栄養(レンズ面のホコリや汚れ)

・湿度(約50%から)

・温度




レンズカビ対策はこれらのカビが好む条件を揃わないようにすることです。


カビの栄養対策は、エサとなるホコリや汚れを除去すること。ご使用後や定期的に光学面の汚れをクリーニングすることが重要です。ただしレンズぺーパーなどでの光学面の拭き取りは、致命傷"レンズキズ"が入るリスクもありますので、できるだけプロにお任せください。難しい場合は、ハンドブロアーで軽く吹き飛ばすだけでも有効です。




次に湿度対策。

定番はシリカゲルなどの乾燥剤。キャップ裏に貼ってる方も多いようです。ご注意をいただきたいのは、乾燥剤の効果は永遠ではありません。水分を含んでパンパンになった乾燥剤は時々交換してあげてください。収納用の段ボールや緩衝スポンジなどの古いものも湿気を含みますので定期的に交換を。レンズに薄くクモリが付着していたら要注意!



温度対策は正直難しいところ。

0℃以上の環境ならどの温度でもカビは生きていけるそうです。高温になるほどに湿度も上がるため活発になります。例えば冷蔵庫の中や年中エアコンが効いた保管室が用意できれば良いのですが、ちょっと現実的ではありません。上記のレンズクリーニングと除湿を徹底することで発生を抑制する対策が有効かと思います。


 

上記に配慮したからといって安心を保証できるとは限りません。


我々が提唱するオススメの対策として、

望遠鏡はしまい込まずに"時々出して触ってあげる"こと。

人が生活する環境。周囲の空気が動くことでカビの抑制につながると言われています。また、箱の中など灯りが届かず居心地が良い"暗い環境"を持続させないことも重要。


すなわち、、


キャップを開けて光を入れる。

ピントを動かして空気を動かす。


これだけでもカビ発生の予防効果アリ!


ついでにレンズ状況なども目視確認してみましょう。もし異常があった場合でも早期発見につながります。梅雨シーズンはメンテナンスも兼ねて室内で機材を愛でてみましょう。きっと望遠鏡も喜ぶはず♪


それでもレンズカビが発生してしまった場合には、

カビ〇ラーなどはご使用されずに「天文ハウスTOMITA」までご相談ください。




"Stop the Season in the・カビ!"


機材を大切に(^^♪



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